螢の小径。

出石焼 虹洋陶苑

IZUSHI PORCELAIN KOUYOUTOUEN

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蛍の小径。

これは7人の男たちが夢と浪漫に挑むドキュメンタリーです。

【ほたる】ホタル〔季・夏〕〔動〕ほたる科の昆虫。夏、水辺の草むらにすむ。
ほたる狩り 名 ・自サ変〔季・夏〕ほたるを捕る遊び。ほたるとり。

プロローグ

私たちの子供の頃はホタルの時期になると友達と待ち合わせをして網や竹ぼうきでほたる狩りをしたものですが、
そのような遊びもすっかりと影を潜めている昨今です。
確かにほたるを捕ることには賛否両論あるようですが、 私たちは子供の頃楽しかったのは事実です。
それじゃと立ち上がった下谷地区、7人の遊者?もとい、勇者たち!
それぞれが自然繁殖を含めその間も養殖を進め、3年もしくは5年後には
「 夜明るくて眠れないので頼むからほたるを捕って下さい。」
って言えるぐらいになりたいと、みんなの夢は膨らむばかりです。
さてさてどうなりますやら、みなさん見守ってやって下さい。

準備編

さてまずは、養殖をするに当たって装置を作らなければなりません。
養殖はそれぞれの家庭で行うので7セットの装置が必要となります。
装置はほたるに交尾をさせて卵を産ませ孵化をさせる装置、
名付けて”産卵孵化マシーン”
幼虫を育てる装置、
名付けて”幼虫を育てるマシーン”
と二種類のマシーンが必要になります。
全貌は次の機会にご覧いれることに致しまして、 先ずは動き始めたプロジェクトの一端のご紹介まで・・・。

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採取編

蛍を養殖するに当たって二つの生物が必要となります。
一つは勿論蛍の成虫の雄と雌。
もう一つは蛍の幼虫の餌となるカワニナです。
カワニナは数年前から隣の区の谷山区がこれまた蛍の保護のために放流されてきました。
ですから今回のプロジェクトを立ち上げるに当たりカワニナの心配をしなくていいというのは追い風でありました。
谷山地区の永年の地道な活動に心から敬意を表したいと思います 。

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交尾・産卵編

これが噂の”産卵孵化マシーン”です。
水苔をたっぷり湿らせて、
蛍を入れ二日に一回くらい霧吹きで水をかけてやります。
そうすると10日から2週間位生きています。
成虫になった蛍は水で生きているそうです。

6月22日深夜12時頃、川縁まで行ってみると 石崖でホタルが光っていて、 何してるのか確かめようと長靴を履いて川に降り、 懐中電灯ともしながらジャブジャブとそこまで行ってみると・・・
な、な、なんと 水面から50cmくらい上の苔の中でメスばかり4匹 かたまって、どうも卵を産んでいる様子。
夜を徹して産卵するのでしょうか?
家からデジカメとってきて 一生懸命30枚写しましたが闇の中でなかなかうまくいかず どうにか1枚 !
お尻を伸ばして生んでる様子が分かるでしょうか・・・。

それから二日後その場所に行ってみると ”産卵孵化マシーン”では見たことのないまた次元の違う自然の姿を見ることが出来ました。
千?万?いったいいくつあるのでしょうか?それ程の数を見つけました。
しかし逆を返せば、それ程生存率が悪いと言うことでしょう。
それが自然な掟、本来の姿かもしれませんが・・・。

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孵化編

産卵を確認してからおよそ23日で孵化するようです。
雌一匹で500〜1000の産卵をするようなので、孵化するときも一日にその数が、孵化することになります。
実際にまず8匹(おそらくフライング組)を確認した翌日に数え切れない数の孵化を確認することになりました。
それも今日で4日目!
どうなってしまうのでしょうか?
孵化した幼虫は”幼虫を育てるマシーン”に移されます。

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孵化直後の幼虫。目盛りは1ミリ。  これがホタルになるとは???
餌のカワニナに群がっています。
肉食で、けっこうどう猛な奴です。

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成長編

孵化した幼虫は”幼虫を育てるマシーン”に移されます。幼虫を育てる装置、名付けて”幼虫を育てるマシーン”で幼虫は12月の中旬までを目途に過ごします。
それまで各々は、餌のカワニナを供給したり、水の入れ替え、水槽の清掃等々の世話をしています。
石の下や隙間に夜の間にカワニナを引きずり込み 食べているようです。
同じマシーンの中でも勿論メンバー同士の間でも成長の進み具合に大きな差が生じるようです。

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蛍は脱皮を繰り返し成長するようです。
真っ白な幼虫は脱皮直後の蛍と思われます。

放流編

マシーンの制作から始まって、 蛍の採取・産卵・孵化と続き、幼虫を育成してきましたが 、早いもので12月となりました。
その間各々で川へ通いカワニナを採取して餌として与え続けてまいりました。
たいてい石の底にいてその姿を見せてはくれなかった幼虫ですが、それはそこ、いざお別れになると寂しいものです。
先ずは選別から・・・。
これは蛍の幼虫に成長過程にかなりの個体差があるためです。
脱皮を繰り返し成長しますが、通常6回程度の脱皮で終了のようです。
しかし中には1度程度の脱皮しかしていないような者も居ます。
それはそれで2年3年とかけて成長するようです。
さていよいよ放流ですが、幼虫は冬の間水が冷たくなるとあまり餌を食べずに過ごすようです。
春になって、桜が咲き始める頃、雨が降り土が軟らかくなると陸に上がり、土の中にもぐります。
やがて土繭を作り、さなぎへと変体していくようです。
2ヶ月ほど経つとさなぎから成虫へと脱皮して蛍として飛び立つようです。

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昔から人の暮らしと川は深い関わりを持っているように思います。
私の記憶の中にも川というものが 大きな存在としてあります。
だからこそ今回のように自分たちの近くの川に大きな関心を抱くのだと思います。
そんな思いを子供たちにも感じてほしくて下谷区の子供会を招いて一緒に放流をしました。

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すべての幼虫が帰ってきてくれることを皆さん祈っていただければ幸いです。
そして幻想的な一時を・・・。

上陸編

桜の花が咲きました。
雨が降りました。
そんな3月29日の夜のことでした・・・。
この”蛍プロジェクト”を始めるに当たり、蛍の生態は少しは勉強をしました。
勿論それは卓上のことであってすべてが行き当たりばったり手探りの状態です。
春になると川の中で育った幼虫が土の中に潜りさなぎへと変態を遂げそして成虫である蛍へと羽化をするという事も知っていました。
土の中に潜ると行ってもせいぜい水辺の岸に這い上がる程度のものと思っていたのです・・・。
ですからそれを目撃をするというのはほぼ不可能であると思っていたのです。

雨の中、長靴を履いて傘を差して川へと出かけました。
そこには既に他のメンバーも集結していましたので話を聞いて早々に川へと降りて行きました。
雨のため少し増量した川へ慎重に慎重に進んでいきました。
すると川縁の2Mはあろうかという石垣に何と淡く光るそれを目撃したのです!!
そうなんです!
幼虫は光を放ちながらゆっくりとゆっくりと石垣を上っていたのです!
少し目が慣れてくるとここにもあそこにもいえいえ蛍が乱舞するかのごとく石垣にそれは点在していました。
夏の蛍しか知らない私にとってこの一年間は本当にカルチャーショックな一年でした。
はじめは、たかが一週間の輝きのためにこいつ等はかわいそうなやつ達と思っていましたが、
いえいえ違うのです!
この一年間すべてが”生”なのです!
健気にその”生”を全うしているのです。

翌日は打って変わって空は青色でした。
夜になってどうしても妻と子供にも見してやりたくて長靴を履いて川へと向かいました。
雨が降っていなかったので、見られるか心配だったのですがその姿を再び私たちに魅してくれました。
ふと空を見上げると満天の星空・・・
その時私たちは天と地の宝石に包まれた瞬間でした。
そう、春の夜の夢のような ひとこまでした・・・。

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乱舞編

地域に対する川というもの・・・
生活の中に関わる川というもの・・・
2002年、出石はほとんどの下水工事が完了しました。
子供の時に遊んだあの川が帰ってこようとしているこの時期だからこそ川と関わっていきたい・・・
子供たちにも関心を持ってほしい・・・
いろんな思いの中この一年このプロジェクトに関わってきました。
試行錯誤の中何度も何度も熱い思いをぶつけ合ってきました。
いろいろな人にこの活動を知っていただき
暖かい言葉をかけていただきました。
いろいろな人にご協力いただきました。
もちろん家族も一緒に取り組みました。

そんな一年が過ぎました・・・。

この活動を知っていただいた方のなかで自分たちの地区の川でもやってみようという人が現れることを願っています。
子供たちやお年寄りが、ふれあう場所になるそんな意味のある地域の川であってほしいと思います。

それぞれのメンバーが今年も雌5匹、雄15匹捕獲してきました。
来年も蛍に逢えることに夢を重ねながら・・・。

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